潜水服は蝶の夢を見る

『潜水服は蝶の夢を見る』
Le Scaphandre et le Papillon
The Diving Bell and the Butterfly


Le Scaphandre et le Papillon


製作総指揮 ピエール・グルンスタイン / ジム・ラムレイ
製作 キャスリーン・ケネディ / ジョン・キリク
監督 ジュリアン・シュナーベル
脚本 ロナルド・ハーウッド
原作 ジャン・ドミニク・ボビー
撮影 ヤヌス・カミンスキー
美術 ミシェル・エリック / ローラン・オット
音楽 ポール・カンテロン
衣装 オリヴィエ・ベリオ
特撮 ジョルジュ・ドゥメトロー
出演 マチュー・アマルリック / エマニュエル・セニエ / マリー・ジョゼ・クローズ / アンヌ・コンシニー / パトリック・シェネ / ニール・アレストリュ / オラツ・ロペス・ガルマンディア / ジャン・ピエール・カッセル / マリナ・アンズ / マックス・フォン・シドー / イザーク・ド・バンコレ / エマ・ドゥ・コーヌ / ジャン・フィリップ・エコフェ / ジェラール・ワトカン / ニコラ・ル・リッシュ




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ガツン と頭を叩かれるような衝撃的なシークエンスや映像があるわけでもない。

目の覚めるようなストーリー展開やドンデン返しがあるわけでもない。

逆に、前半は制約された画角の中で、大幅に制限された情報の中で、淡々と物語は進んでゆく。

しかし、確実に画面の力は、観ているボクの心を掴んで離さない。

滲んでいた色が輪郭を現していくように、じわじわと人の機微が映し出され、キャメラが飛び回りだします。

説明的なシーンや科白はほとんどない。
あっ、と思うコマの切り方、
思わず前のめりになりそうなコマの残し方はこの監督の才能でしょう。
ザワザワと泡が立つ心。

掴まれた心のままに、劇場が明るくなった後に深く客席に沈められていた身体に気が付いた。
これがスクリーンから放出される、紛う事なき“映画の力”なり。


余談を二つ。

『フランティック』で、扇情的で直情的な女性を演じ、ハリソン・フォードを惑わし、壮絶なラストシーンを魅せてくれたエマニュエル・セ二エが枯れた魅力でシネマニアなボクたちの前に登場してくれた。嬉しい。

ポスターの左下のカットの左側、理学療法士役の彼女はシュナーベル監督の奥さんやそうです。

(2007/アメリカ・フランス作品)


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